PFC-FD療法について
当院では、変形性膝関節症に適した再生医療PFC-FD™(2.0)療法を行っています。
PFC-FD™(2.0)療法とは

生まれながらにして持っている「自然治癒力」を利用した治療法の一つに再生医療(バイオセラピー:biotherapy)があります。
すでに実際の治療に使われているPRP療法(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)では患者さんご自身の血液を採取後、遠心分離して血小板を濃縮した血液を抽出し患部に注入する方法で、血小板が放出する成長因子により組織を修復または活性化させ、患部の治癒促進、炎症を抑える効果が期待できます。
血小板に含まれる成長因子には、PDGF、FGF、EGF、VEGF、TGF-βなどがあり、これらの成長因子を注射することで患部の組織治癒や炎症抑制に寄与するとされています。関節や筋腱の疾患・損傷に注射することで炎症を抑え、症状の改善を見込む治療法です。
PFC-FD療法(Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dry)はこのPRP療法を応用し、効果・保存性を高めた次世代型治療法です。PFC-FD療法は自己血液から成長因子を取り出して凍結乾燥(フリーズドライ)したもので、通常のPRP療法よりも成長因子を2倍程度多く含みます。
長期保存も可能で本人の血液を用いるため、合併症の危険性がありません。また体外で成長因子を抽出、無細胞化するため、PRP療法より痛みが少ない治療法です。
当院で採用しているPFC-FD™(2.0)療法は従来のPFC-FD療法よりさらに10倍多くの成長因子を含み、全ての面でアップグレードされた再生医療です。
整形外科における再生医療
整形外科における再生医療は、関節や筋腱靱帯、椎間板・半月板などの軟骨にいたるまで、さまざまな有効性が実証されてきており、世界的にも広く行われています。
自分の血液を使うため、安全で副作用が少ないのも特徴です。しかし、まだ分かっていないことも多く、現在のところ日本では保険診療の対象治療にはなっていません。
主に期待できる効果としては、以下のようなものがあります。
①痛みの改善
②炎症の軽減
③組織の早期修復
④進行の抑制
慢性疾患で行っている治療効果が得られない方や、手術をさけるための手段またそれにかわる方法として、選択される方も多くなってきています。
またスポーツ分野においても、損傷した半月板や筋肉・腱・靱帯の修復やそのスピードを高める可能性もあります。治癒まで至らなくても、炎症を長期に渡って軽減し、進行を抑える目的で使用されたりもしています。
PFC-FD療法の適応対象となる疾患について
PFC-FD療法の効果が期待される整形外科領域の疾患、外傷、障害は代表的なものとして、変形性関節症、上腕骨外側上顆炎、上腕骨内側上顆炎、膝蓋腱炎、アキレス腱周囲炎、足底腱膜炎等などがあります。
上記対象疾患の中で、従来の治療法では難治性である症例であり、主治医がPFC-FD療法の必要性を認められた方が、当該治療の対象となります。
PFC-FD™(2.0)療法をおすすめする方
- 膝が痛くて歩行も困難な状態の方
- 変形性膝関節症でお悩みの方
- 手術に抵抗感がある方
- ヒアルロン酸注射の効果がない方
期待される治療効果について
この治療では、自己修復力を活性化することで、以下のような効果が期待できます。
- ケガ、傷の修復速度の向上(加速)
- 損傷後、治りにくくなった部位で、再度治癒プロセスの活性化(再構築)
- 組織の硬さや柔軟性を元の状態に近づけること。(組織の変化、物性の変化)
- 痛みの感じ方を変化させること。(受容器の変化)
- 関節の炎症を抑制
*PFC-FD療法は、あくまで本人の治癒力に依存するため、治療効果には個人差があります。
治療内容とスケジュール
診断
レントゲン検査、超音波画像診断やMRI検査を用いて正確に病態を診断します。(保険診療)
(下記からは別の日にして自費診療になります。保険適応外)
採血とPFC-FD™(2.0)作製
- 診察後、静脈から43mlの採血を行います。
- 採取した血液を当院が連携しております厚生労働省認可の特定細胞加工物製造許可施設へと送り、検査・加工を行います。
PFC-FD™(2.0)注入

採取した血液の感染症検査(HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HTLV-1)の結果、問題がなければ約3週間後以降にフリーズドライ化されたPFC-FDを溶解し、患部へ注射します。
※感染症検査により、陽性が出た場合は、治療の中止となります。なお、梅毒、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)については、ご希望により、精密検査を実施することが可能です。
PFC-FD™(2.0)療法後の注意点について
- 注射当日の入浴はお控えください。
- 関節は細菌に弱いので、注入部は清潔に保つように心掛けてください。
- 治療後も継続的にリハビリテーションが必要です。
副反応について
ご自身の血液を使うためアレルギー反応は起こさず、超音波で患部を確認しながら注入するため安全な治療です。
- PFC-FD療法は注射をするため痛みを伴います。
- PFC-FD注入後3~4日は治癒機転に伴う炎症症状として痛みや腫れなどを感じる可能性があります。
費用と保険について
PFC-FD™(2.0)(PRP-FD)療法の費用
片膝
| 診察 | 3,300円 |
|---|---|
| 採血・検査 | 16,500円 |
| PFC-FD™(2.0)作製・注入 | 178,200円 |
| 合計 | 198,000円 |





